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Kazuo Uehara (上原和夫) "初期作品集" [CD]

価格: 2,600円(税込)

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Label: Edition Omega Point - OPA-016

日本のコンピュータ音楽の草分けの一人である上原和夫のアナログ電子音楽作品を集大成!
上原氏はコンピュータ時代以降の作品が圧倒的に多いのだが、アナログ時代に培ったセンスと技法は、現在の多くの作家に先駆けていたことは疑いようがない。軍事政権下の韓国ソウルのフィールド音と電子音をミックスさせた「ソウル1982」などはその典型である。他に前衛ダンスのための非常にミニマリスティックな作品、科学万博の映像ホールのための音楽、そして重要なのは電子音楽におけるエポックの一つ、クセナキスが開発したUPIC(ドローイングをデジタルデータ化し、音楽に変換する装置)を使った作品で、他にも高橋悠治、松平頼暁、湯浅譲二らの作曲家がこのシステムのために作品を制作した。UPICは残念ながらデジタル技術進化のスピードの中で忘れられてしまったが、こういったコンピュータ時代前夜の多様なコンセプトと手法の百花繚乱こそが、この時代のアスペクトなのである。本作は個人的な電子音楽スタジオがあちこちに作られ始めていた時期の貴重な記録である。

1. ソウル 1982
この作品は、「音に刻まれた歴史の記憶」をテーマに自ら素材音を収録し、作品として仕上げたもの。テーマは1980年代初頭の、韓国の首都ソウルの街のある瞬間の「歴史的」音風景をコラージュ風に再構築することであった。当時の韓国は軍事政権下で、政治的な混乱が度々露呈するといった緊張感に包まれた状況であったが、人々の暮らしは活気に満ちたものであった。素材音は中心街に於ける物売りの声や南山(ナムサン)の子どもたちの無邪気な声、軍用トラックの行き交う幹線道路のノイズ、ソウル大学の学生達の会話など多彩な音を対象とした。

2. 楠野隆夫に捧げるコンテンポラリー・ダンスのための音楽
1970年代に活発なアートシーンを提示した渋谷のアートスペース "ジャンジャン"は、音楽、演劇、舞踊などの領域の多様なジャンルから斬新な企画を取り上げて活動を展開していた。そのような活動の中で私が関わったのは、美術家でもあり、舞踊の演出家でもあった楠野隆夫とのコラボレーション作品であった。この音楽は、楠野氏とのコラボレーションによる舞踊の為の音楽として作曲されたもので、「カラスの習性」、「私は道化師」という副題を持つ連続した2つのパートからなる。舞踊の新たな方向を指し示すものであり、いわゆる現代舞踊でもなく、舞踏でもないコンテンポラリーな表現領域の拡張と言えるだろう。

3. 科学万博 - 細胞ブースのための音楽
この作品は、1985年に筑波で開催された科学万博(国際科学技術博覧会)の健康スポーツ館、「細胞空間」とよばれる空間の為に作曲された。細胞空間は空間全体を人間の1つの細胞とみなして作られており、27面マルチ映像及び立体音響空間により構成されている。独自に開発された音像移動装置、スペースコントローラーは、リアルタイムに生成された電子音響の音像を自在にコントロールし、3次元的な仮想空間を現出させるものであった。

4. クセナキスへのオマージュ - UPICによる
この作品は、1980年代に東京で行われたUPIC(ユーピック)のワークショップにおいて作曲されたもので、作品公開のコンサートにはヤニス・クセナキスも来日し、各作品への批評が行われた。UPICは、クセナキスの構想によりフランスの研究機関CEMAMuで開発が進められた大変ユニークな作曲支援ツールで、デジタイザーを用いて入力された画像に基づいて音が生成されるものである。当時はミニコンを用いて計算が行われ、計算結果としての音はリアルタイムでは聴く事ができず、翌日に聴く事ができるといったスローなものであった。クセナキスは子供たちの音楽教育においてこのツールを活用することも考えていたようだ。ワークショップには、音楽家に加え、子供たちや公募で集まった一般の参加者も含まれていた。この作品「クセナキスへのオマージュ - UPICによる」には、コンピュータ・グラフィックス作家の幸村真佐男なども加わり、コラボレーションで画像入力を行った。

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1. Seoul 1982
This piece was composed using the recorded sounds as raw material. It was to reassemble the "historical" soundscape of the Korea's capital city, Seoul, in the early 1980s.
During this time, despite the political chaos and the tension in the city under the Korean military government, I felt the lively energy in its people's life. The raw material comprised of wide range of different sounds includes the street cries in the downtown, cheerful voices of children in Namsang area, noise of arterial streets, and conversations of the students at the Seoul National University.

2. Music for Contemporary Dance - dedicate to Takao Kusuno
In 1970s, the art space "Jean-Jean" in Shibuya served as a popular venue for experimental music, theatre, dance and others. In this movement, I did collaboration works with Takao Kusuno who performed as the artist and dance director. This piece for the dance was composed in collaboration with Kusuno to explore new approaches for dance. The work has two consecutive parts with the subtitles "Crows Habit" and "I am a Clown". It was not merely a contemporary dance, nor Butoh, but it indicated the contemporary room for the dance scene of the time.

3. Science Technology Expo '85 - Music for "Cell Universe"
The piece was specially composed for the Health and Sports Pavilion "Cell Universe" at the International Exposition, Tsukuba, Japan, 1985. The space was comprised of twenty-seven-multiscreen film and stereophonic space. The uniquely designed space controller, the system for moving sound image, made it possible to control the electronic acoustic sound image to create virtual 3D space.

4. Homage to Xenakis
This piece was composed at a UPIC workshop held in Tokyo in 1980s where the composer Iannis Xenakis made remarks on each presented work. The musical composition tool, UPIC, was created by Xenakis. This unique sound synthesis system allows the user to create music by drawing lines on the board. Xenakis originally envisaged this tool to be used for pedagogical purpose. Other than musicians, the workshop drew participants from children to adults from the public. - from liner note by artist.
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