Label: NEUREC
LAFMS文化をディープに伝え続ける伝道師"T・坂口"氏のレーベルNEURECより、Smegmaに所属する大ベテランJackie Stewartの変名Obliviaによる初の完全ソロ名義作が登場!!外箱付きの豪華装丁!!
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あらゆる音楽を貪食しては変異させてしまう音楽共同体Smegmaは1973年11月に米国カリフォルニア州パサディナで結成された。だが、1975年9月にそのリーダーであったJu Suk Reet Meateを含む数人がオレゴン州へと移住してしまう。その後同州ポートランドに定着した彼らがSmegmaとして活動を再開するまでには幾何かの時間を要したが、1979年にLos Angeles Free Music Societyレーベルからファースト・アルバム “Glamour Girl 1941” を発表したことを皮切りに、精力的な創作を続けて行く。
1982年にはカリフォルニア州オークランド出身のJackieがSmegmaに参加する。1979年にポートランドへ移住し演奏を続けて来た彼女は、次第にSmegmaにおいて重要な位置を占めて行く。併せて、JackieはJu Sukと結婚し、Ju Sukの本名であるStewart姓を名乗り始めた。彼女とJu Sukは彼らが住んでいる「ピンク・ハウス」でデュオとして日常的に演奏と録音を行い始める。Smegmaでの活動と並行し、その無名デュオの演奏は20年以上続いた。そして21世紀に彼らはThe Tensesを名乗り、ライヴ演奏を含めた活動を続けて行く。Smegmaに参加して以来、Jackieは声を使ったインプロヴィゼーションと催眠的グルーヴを伴うターンテーブルの演奏を行っていた。The Tensesではそんな彼女の演奏がより明確に提示されているように思う。
さて、1993年にJackieはSmegmaのアルバム “Ism” でObliviaという変名を使い始める。以後にはRock 'N' Roll Jackieを名乗ることもあった。こうした名義を使い分けて、彼女はソロ・アーティストとしての活動をも行う。2007年にはJackie Stewart名義でアメリカのAA Recordsから“Psychedelic Pizza #1”、“Psychedelic Pizza #2” という2枚のレース・カット7インチ盤を発表した。2010年にはRock 'N' Roll Jackie名義で日本のPain Jerk とのコラボレーションCD “Super Relaxed” をイギリスのSecond Layer Recordsから発表する。2017年にはやはりイギリスのGiant TankからJackie Stewart名義でKaren Constanceとのスプリット・ソロ・カセットを発表した。
本作 “Popular” は 1979年から演奏活動を続けて来たJackieにとって Oblivia名義による初めての単独ソロ作品である。それは、45年間にわたり彼女が培って来た独特の感覚に満ちた夢のようなアルバムだ。声は使わず、オルゴール、ターンテーブル、そして7つの発振器を内蔵するシドラッシ・オルガンを用いている。美川俊治さんはこのアルバムを聴いて「架空の都市で行われたフィールド・レコーディングのようだ」と評した。演奏者の思惑が見事に消去されているから、その音楽はフィールド・レコーディングのように聞こえるのだ。まるでメビウスの輪の表面をなぞるようにドリームとナイトメアが次々に入れ替わって行く。
この作品を、同内容の音源を収めたカセットとCD-Rのセットとして構成した。そしてOblivia自身によるコラージュやスタンプ・アートでパッケージが埋め尽くされている。
文責:坂口卓也