Label: zappak
平木周太と安藤秀満は長崎にある旧佐世保無線電信所(針尾送信所)へ足を運び、その内部にて演奏をおこなった。彼らはパーカッション類やホイッスル、そしてシュルティ・ボックスを持ち込み、録音は2時間以上にわたったという。彼らはその録音からの抜粋を時系列に並べ、5曲による構成とした。
録音を始めたころは天候が悪く雨音が聞こえているが、徐々に天気は落ち着いてきて、終盤では晴れたのか、鳥の鳴き声も聞こえてくる。深い残響のなかでおこなわれた2人の演奏は、緊張感から解放されたようなアンビエンスに満ちている。聴き手の聴覚は「聴く」から「聞こえる」へと無意識のなかで変異していき、緩やかにその音のなかへと沈み込んでいくことだろう。
Shuta Hiraki (平木周太)
長崎県在住の音楽家。音響合成、フィールド・レコーディング、アコースティック楽器の演奏、サンプリング・コラージュなど様々な手法を駆使し、構造/思想の両面からアンビエントやドローン・ミュージックの臨界を志す音楽を制作。これまでにRottenman Editions、LINE、The Collection Artaud、VAAGNERなど多数のレーベルから作品を発表。よろすず名義で音楽に関しての執筆も行う。
Shuma Ando (安藤秀満)
埼玉県在住の音楽家。アンビエント・フォークバンドGrace Cathedral Parkにて主にギターと作曲を担当し、2019年に1stアルバム『Grace Cathedral Park』を発表。また、東京大学大学院にてフランス文学を専攻し、20世紀・21世紀のフランス文学と視覚文化について研究している。
Shuta Hiraki and Shuma Ando visited the former Sasebo Wireless Telegraph Station (Hario Transmitting Station) in Nagasaki and performed inside. They brought percussion instruments, whistles and a shruti box inside, and the recording was over two hours. They arranged chronologically excerpts from the recordings into a five-track composition.
When they started recording, the weather was bad and we could hear the sound of rain, but the weather gradually calmed down. The performance of the two in deep reverberation is filled with ambience that seems to be released from tension. The sense of hearing of listeners will unconsciously mutate from "listening" to "hearing" and slowly sink into the sound.